主人公である神楽坂要は、世の怪異を払うことを生業とした退魔師の家系に生まれた少女です。
幼い頃から家の仕事(化け物退治)にくっついて歩いていたため、少壮ながらに退魔の技法を身につけ、今では立派に家の仕事を手伝えるまでに成長しています。
 そんな彼女の元に、ある時、とある私立高校から依頼が舞い込みました。
 生徒が変なものを見たり、一寸した怪我を負ったりするという、内容的には他愛もないものなのですが、学園の信用を考えると、このまま放っておくわけにも行かないだろうと言うことで、要の家に話が持ち込まれたのです。
 まあ、たいしたこともない仕事で、年齢もちょうどいいということから、要が派遣されることとなり、準備が進められておりました。

しかし、一つ重大な問題があったのです。
「こ、ここっ、ここって男子校じゃないのよぉ!!!」

「ほう、そうじゃったかのう。すまんすまん。
 ま、ちょいと変装すれば、何とかなるじゃろ」
「短期間ならば、誤魔化しきれる」と周りの意見までも統一されてしまい、主人公の思惑は完全に無視されたまま、この風変わりな潜入任務が決行されることになったのです。
 嫌々ながらも男子校に転校した要ですが、転校早々在校生と問題を起こしたり、無理矢理部活動に入れられたりと、様々な出来事に巻き込まれることになります。
 そんな中、同じクラスに在籍する兵頭十馬などの助けもあってか、気がついてみると、比較的短時間でこの奇妙な状態になじんでいました。

 しかし、それでいいわけはありません。

 彼女は遊びに来たのでも、見学にきたのでもないのです。
 たとえ下級生みたいな同級生に敵視されたり、きれいな男の人に(なぜか)気に入られたりしようとも――己の能力や術、式神を駆使して、事件の解決に当たらなければならなりません。

 彼女は退魔師であり、仕事をするために青領舘高校にやって来たのですから。